宿口がGⅠ初制覇――。
GⅠ「第72回高松宮記念杯競輪」の決勝戦は6月20日、岸和田競輪第12Rで行われ、宿口陽一(37=埼玉・91期)が優勝。宿口は「グランプリ2021」(12月30日、静岡)の出場権利と賞金3083万円(副賞含む)を獲得した。
GⅠ初決勝進出での優勝は07年高知「第50回オールスター」の飯嶋則之(栃木)以来。
なお、人気を集めた清水裕友は5着に敗れた。
決勝VTR 松浦がスタート。松浦―清水―稲川―小松崎―佐藤―守沢―吉田―宿口―山崎で周回。 赤板で吉田―宿口が上昇。小松崎―佐藤―守沢が打鐘で前に出るが松浦―清水―稲川がすかさず巻き返して先行争い。 松浦が踏み勝って主導権も最終1Cから山崎が捲る。清水が山崎に合わせて番手捲りも山崎がのみ込む。 山崎の捲りに続いた吉田―宿口が外を踏んで宿口が直線伸びて優勝。 |
「作戦通り」吉田マークから直線突き抜けた |
初のGⅠ決勝戦進出で、対戦メンバーはタイトルホルダーが4人にS班の守沢。宿口の劣勢は否めなかった。それでも準決勝を1着で突破した調子の良さに加えて「吉田君との作戦通りでした」と狙っていた展開がズバリと決まり、GⅢを飛び越え07年オールスター(高知)の飯嶋則之以来となるGⅠ初決勝Vという大仕事をやってのけた。
最終ホームでは最後方のポジションだった宿口。先行態勢は松浦―清水のゴールデンコンビで、人気を集めた清水の勝利の確率は高まる。そこに襲いかかるのが単騎の山崎で、吉田が追走の形に。山崎がバックで捲り切り、直線で外を踏み込む吉田をさらにとらえた宿口が鮮やかにGⅠ初Vのゴールを駆け抜けた。
「無我夢中でした。僕の方が車輪が出ていたのは分かりましたが…。このメンバーで勝てるなんて正直、驚いています」
大会直前に関東のエース平原康多がケガで欠場。高校の先輩で、公私ともに世話になる先輩の無念を思い「平原さんの分までとはとてもいかないが、頑張ろうとは思っていました。いい報告ができそうです」とこの時ばかりは、はにかんだ笑顔を見せていた。
タイトル獲得でグランプリ2021(12月30日・静岡)の出場権を獲得した宿口。「ひとつの目標は達成できましたが、まだそういう選手ではないので…。周りの視線も変わってくると思うので、ひとつひとつのレースを頑張っていくだけです」と最後まで謙虚に喜びをかみしめていた。(緒方 泰士)
◇宿口 陽一(やどぐち・よういち)1984年(昭59)4月3日生まれ、埼玉県ふじみ野市出身の37歳。県立川越工高卒。06年7月プロデビュー。通算成績は1301戦315勝。通算取得賞金は2億6988万円。主な優勝は第72回高松宮記念杯(21年)。1㍍68、72㌔。血液型AB。
◆次回出場予定 優勝した宿口陽一は静岡FⅠ(7月6~8日)、2着の吉田拓矢はGⅢ久留米記念(6月26~29日)、3着の守沢太志はGⅢ福井記念(7月8~11日)。 |